Corporate Governance コーポレートガバナンス

社外役員対談

社外役員対談


変革を通じた成長を成し遂げるために、ガバナンスにおいてもさらなる進化を図ります

外部環境が大きく移り変わっていく中、商船三井が従来型の海運業にとどまらない事業領域へと踏み出し、10年後の目指す姿である「相対的競争力No.1事業の集合体」を実現するために、ガバナンスをどのように強化していく必要があるか。当社社外取締役である藤井 秀人、勝 悦子による対談を行いました。


商船三井のガバナンスに対する評価

藤井:商船三井のガバナンスを評価するにあたり、以前から繰り返し申し上げていることではありますが、非常に自由闊達な議論が行われている点を私は高く評価しています。これは就任当初から一貫して変わらない企業風土だと感じており、当社のガバナンスの実効性を高める上での基本であり、大きな役割を果たしていると思います。

:自由闊達な意見が言える風土ということは、私も非常に高く評価しているポイントです。就任当時を振り返ると、社外から見た際にも、その業態からグローバルな会社であるという印象はありましたが、実際に就任後の議論を通じて、オープンマインドな姿勢や日本国内にとどまらない世界を見通した上での議論が重ねられていることに感銘を受けました。

藤井:海運業界の一大プレーヤーとして発展してきた歴史を踏まえると、ともすれば、今後もそうなるだろうという楽観的な意識が生じかねませんが、商船三井は、激しく移り変わっていく世界経済情勢のもと、先々を読み、先駆的な取り組みや将来を見据えたポートフォリオの選択と集中に積極的に取り組まれています。

:毎年経営計画のレビューを行う「ローリングプラン」という考え方そのものが非常に良いアイディアであると評価しています。とりわけ海運業は、地政学的なリスクの高まりや、保護貿易主義の台頭といった外部環境に鑑みれば、舵取りが非常に難しい局面にあるといえます。荒波が押し寄せている段階において、従来型の静的なビジョンではなく、「ローリングプラン」という動的かつ柔軟なあり方に変更したことは、この業界において非常に重要なことではないかと考えています。

藤井:就任以降の変化に目を向けると、大きく二つのことが挙げられます。一つは、取締役会に上がる案件についてのフォーマットやプロセスが洗練され、具体的に取り組む案件についての戦略上の位置づけ、あるいは「ローリングプラン」との関係性について明確に意識された議論がなされるようになりました。議論の焦点を定めることで、最も重要な部分についてスピード感を持って充実した審議を行えるようになってきたと手応えを感じています。加えて、現在仕掛り中の案件についても、取締役会で決定する一つ前の段階から論点の整理や共通認識のすり合わせが活発になりました。案件の実現に向けて一段と具体的な意見交換が先んじて行われることは、非常に良い傾向であると考えます。

:この1、2年の間においても取締役会で扱う情報量は飛躍的に増えており、より細かなところにまで目配りが効く体制になってきています。中でも、コンテナ船事業の統合プロセスにおいては、率直なところ当初はなかなか情報が伝わってこない部分もありましたが、2018年度以降からは非常に多くの情報が得られるようになりました。また、商船三井では事業統合に伴い特別損失の計上を行いましたが、顕在化したリスクに対していち早く処理を行い、先手を打って決断する、そのスピード感は評価すべきだと思います。

藤井:ガバナンスが機能したという点では、2018年の「にっぽん丸」の事故に関する情報開示や改善策、今後のフォローアップに関しても迅速に報告がなされました。前向きな施策に関連するプロセスだけではなく、不祥事に関する対応についても迅速な対処がなされたことは、評価すべきことではないでしょうか。


指名・報酬諮問委員会の果たすべき役割

:コーポレートガバナンス・コードの改定をはじめ、社会の要望としても委員会の役割が非常に大きくなってきていることは重々承知しています。指名の観点で申し上げると、私たちは社外役員という立場ですから、社内の方と比較すると対面での情報が限られるという側面があり、実態的な情報が得られる機会を多く確保することが重要となります。商船三井の場合には、研修会や取締役会における説明の場など、折に触れて直接次世代のマネジメント候補の方に接することができるため、貴重な機会と捉えています。

藤井:先般の指名諮問委員会でも、次代を担う経営候補者をどのように考え、どう育て上げるかということについて議論しましたが、求める資質や人材プールの規模、評価軸など、指名諮問委員会としてもその方向性について何らかの関与も必要ではないでしょうか。
また、報酬諮問委員会に関して申し上げると、現状の短期・中期・長期という視点に加えて、非財務指標の観点をいかに盛り込むべきか、今後のポテンシャルが見込まれる先見あるプロジェクトへの取り組みなど定性的な側面に対して、どのような評価軸・報酬が望ましいのか、議論を深めていければと思います。
いずれの委員会においても、いかに恣意性を排除し、透明性・公平性の確保に努めていくか、持続的な企業価値向上に資する実効的な仕組みを構築できるかという点で、これまで以上にその役割は大きくなっていると思います。


変革を通じた成長を加速するためのガバナンス面における進化

変革期におけるリスクマネジメントの強化

藤井:「相対的競争力No.1事業の集合体」の実現に向けてリソース投入先の選択と集中を行う過程では、事業特性が大きく、差別化を果たせる領域に力点を置いていく必要があります。しかし、これから取り組むであろう具体的な案件においては、プロジェクト所在国のさらなる多様化や投資の規模など、質量ともに従来以上に複雑化することが想定されます。広く海外で展開する事業においては、従来よりも多岐にわたるリスク要因を検討する必要がありますし、投資の規模が大きくなれば、事前の取り組みに関するスキームや共同投資などを行う場合のリスク分散、ファイナンスの仕組みをどのように構築するかなど、あらゆる観点でリスクマネジメントの高度化が求められます。同時に、現在まさに進行しているプロジェクトのモニタリングを丁寧に行っていくことも欠かせません。プロジェクトが刻一刻と変化していく中、投資を判断した時点の評価と現在の姿がどのように変化しているのか。場合によっては迅速な軌道修正が求められるわけですから、事前のリスク管理の精緻化と継続的なモニタリング、この両輪が今後の取締役会に大きく求められると思います。

:リスクマネジメントに関しては、静態的には従来当社で取り組んでいるトータルリスクコントロール*と言われる定量的な管理に加えて動態的な視点も重要です。例えば昨今注目を集めるクリーンエネルギーの輸送一つをとっても、当初審議した際の評価が、時間が経つにつれ、外部環境や競合関係の変化によって、変動していくのは当たり前のことです。「ローリングプラン」そのものの考え方に通じるところもありますが、個別具体的な案件についてもこうした変化を丁寧にトレースし、タイムリーに判断することが必要ではないでしょうか。

* 金融機関の手法を当社用にアレンジして開発した、独自のリスク管理手法。過去20年間で最悪レベルの市況水準が一定期間続いた場合に当社フリートに生じるであろう最大損失が自己資本の中に収まるよう、リスク総量をコントロールするもの。

藤井:これまでの商船三井のリスクマネジメントを見ていると、定期的に自己資本とリスク量の相対比較などの評価についてはきちんと行ってきた一方で、リスクコントロールの考え方を踏まえて、実際の投資案件の判断などにどう結び付けるのかという点でやや有効活用されていない面も散見されました。しかし、近年、コンテナ船事業の統合など具体的な案件での議論が積み上がったことで、各部門においてもリスクコントロールの重要性、考え方がより浸透してきていると感じています。

:各部門が主体的にリスクマネジメントの視点を理解し、コントロールを行うことは重要です。その一方で、取締役会では企業の総体としてどのように舵取りを行うかという点が最も重要ですので、世界的な動きを常に俯視しながら意思決定をしているか、マクロな視点からも適切な方向へ進んでいるかということを、社外取締役として特にチェックしていきたいと思います。

持続可能性を確保するためのESG

:中長期的に企業価値向上を目指す上で、キャッシュフローの創出を強化することはもちろん重要ですが、同時に、企業がいかに社会の持続性に貢献し、社会的課題を解決する存在としてプレゼンスを高めていくのかという視点も欠かせません。商船三井においても、「ローリングプラン」で環境面やガバナンスに関する項目が掲げられていますが、ESGの視点を統合した経営の重要性はますます高まっています。

藤井:今日、ESGの視点に立ち、社会的課題や環境といった多元的問題に対応していくことが求められています。それは新しいビジネスチャンスでもあります。商船三井は、従来社会に広く貢献していくとのDNAが深く共有されていると思います。誇るべき点であり、そこで培われた知見や優位性を深化させ、環境負荷低減に向けた各種プロジェクトの推進などに取り組んでいく一方、学校教育など社会活動にも幅広く貢献していってほしいと思っています。

:海運に携わる人たちのマインドとして、そうしたDNAは私も感じているところです。「ローリングプラン」の観点で申し上げると、環境の視点はまさに戦略に織り込まれつつあり、これはクリーンエネルギー分野への参画やSOx規制への対応など機会とリスクの両側面から様々な形で織り込まれる分野であると思います。また、多様化というものが非常に重要視されている中で、2019年度は監査役や執行役員に女性の方が新たに就任されましたが、より多様な視点を活かした議論がなされるのではないかと期待しています。実際、商船三井の人材プールを見たときに、社外からは男臭い会社というイメージがあるとは思いますが、管理職を務める女性や外国人の方が相当数いらっしゃるように、様々な観点から人材戦略がなされているという点にも非常に期待したいと思います。

株式会社 商船三井 環境・サステナビリティ戦略部 サステナビリティ統括チーム, 株式会社 商船三井 経営企画部 総合企画チーム, 株式会社 商船三井 コーポレートコミュニケーション部 コミュニケーション企画チーム, 株式会社 商船三井 MBS コミュニケーションサポート部 MBS コミュニケーションサポート部, 株式会社 商船三井 人事部 人事部, 株式会社 商船三井 海上安全部 海務チーム, 株式会社 商船三井 海上安全部 安全推進チーム, 株式会社 商船三井 海上安全部 船員政策チーム, 株式会社 商船三井 海上安全部 船員教育・訓練チーム, 株式会社 商船三井 海上安全部 安全運航支援センター, 株式会社 商船三井 技術部 技術イノベーションチーム, 株式会社 商船三井 スマートシッピング推進部 スマートシップ戦略チーム, 商船三井システムズ株式会社 ICT 戦略推進部 ICT 戦略推進第一チーム
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基本的な考え方

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コーポレートガバナンスへの取り組み

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