安全のための取り組み・活動

緊急対応訓練

本船での緊急対応訓練

万一の緊急事態、トラブルに備え、的確な対応ができるよう訓練を継続的に行っています。

船上においては、火災、浸水の他、さまざまな事態を想定した緊急対応訓練を、定期的に実施しています。また、フェリーや客船事業を行う当社グループ会社では、緊急時にはお客さまの安全確保が最優先であるため、避難誘導を含む緊急対応訓練を定期的に実施しています。

陸上においては、年に1回、本社にて社長以下関係役員と関係部署、船舶管理会社が協同し、重大海難事故を想定した緊急対応訓練を実施しています。本訓練は、重大海難事故を疑似体験することで商船三井全体の安全意識を高めると共に、実際に重大な海難事故が発生した場合の必要な対応と情報伝達を的確かつ円滑に行えることを確認することを目的としています。
本訓練で培ったノウハウや新たに見つかった課題などを共有、改善することにより、商船三井全体として万一に備えた緊急対応体制をより強固なものとしていきます。


検船活動

全運航船を対象とした検船活動

商船三井グループでは、船が安全に航行できる状態に維持されているかを確認するため、自社船、傭船に関わらず、全運航船を対象に当社独自の品質基準に基づき定期的に検船活動を行っています。
また、傭船の場合、船主や起用している船舶管理会社等と情報共有を密にし、当社の求める品質基準を理解してもらい、お互いの信頼関係を構築しながら連携して安全対策を進めています。

品質基準を熟知した検船員による徹底調査

船長・機関長の経験を通じて当社の品質基準を熟知した検船員が二人一組で訪船して、本船の運航・整備状況及び管理状況等、約600項目に及ぶチェックリストに基づき徹底的に調査します。
COVID19下の規制等により訪船が難しい時においても、Remoteによる検船(船主や船舶管理会社からの写真又はVideo映像、Documents, Questionnaire等を取り寄せて精査)を継続しています。

また不安全・不適合事項があれば、当社の求める品質基準を満たすよう本船及び当該船舶管理会社及び傭船の場合は船主殿に適切な是正措置を求めます。こうした対応をまとめた写真付のレポートを営業担当も含めた関係部門で回覧し、最終的に本船の品質を確認していきます。このように、当社の商品である船を随時プロフェッショナルの目でしっかりとチェックし、品質を担保しています。


保安リスクへの対応

海賊・盗賊

ギニア湾、アデン湾・ソマリア沖、シンガポール海峡など世界中の様々な海域において、船の乗組員や財産(係船ロープ、油など)を狙った海賊・盗賊(以下、海賊等)の事案が発生しています。これらの海賊等のリスクが高い海域を航行する場合、船上では、レーダーや暗視鏡を活用した見張りの強化や見張りの増員によって、監視を強化しています。また、海賊等による襲撃に備え、放水銃やレーザーワイヤー(鉄条網)を装備し、防弾チョッキやヘルメットなども装着しています。万一海賊等に乗り込まれるような場合には、乗組員はシタデルと呼ばれる船内の退避場所に退避し、軍艦などの救援が到着するまでの間、乗組員に危害が及ぶことを防ぎます。
加え、陸上では、当社の安全運航支援センター(以下、SOSC)が、危険な海域を航行する船舶に対し、海賊等の発生情報を共有し、注意喚起を行っています。また、当社が定める航行指針に従い、増速等の定められた対策を船舶が実施しているか、24時間休みなく監視を行っています。

テロ

テロ行為に関しては予測することは非常に困難ですが、事案が発生したとの情報を得た場合には、SOSCより付近運航船や関係者に遅滞なく情報を展開し、注意喚起を実施しています。
特にペルシャ湾、オマーン湾、紅海、アラビア海など中近東域においては、船舶への攻撃事案が発生するなど、依然として緊迫した状況が続いており、この様なリスクの高い海域に入域する場合には、見張りの増員や火災発生に備えた消火設備の再確認の他、沿岸海域の航行を避けるなど、必要な全ての保安対策を取っています。
また陸上においては、中東域への入域予定船舶について動静を把握すると共に、安全航行上、懸念となる保安情報が得られた際に、早期の対応を取ることができるよう、中東情勢や攻撃事案等の保安情報を業界団体、保安調査会社、付近を航行する船舶等から継続的に収集しています。

紛争域

政情不安が続くリビアなど、保安上の懸念がある国に寄港する際や、その沿岸海域を航行する際に、リスク評価を保安調査会社から入手します。また、特にリスクが高い海域については、入域を避けるために航行禁止エリアを設定するなど、必要な航行指針を独自に定めています。加えて、陸上においてもSOSCがそれらの航行指針に基づき、船舶の動静を常時監視しています。

北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮により、弾道ミサイル等の飛翔体が発射された場合には、関係省庁や業界団体などから弾着予測点について速やかに情報収集を行い、付近を航行する船舶への注意喚起、及び安全確認を行っています。

写真提供:防衛省
船橋周辺に備え付けられたレーザーワイヤー

BRM訓練/ERM訓練

船長、航海士を対象としたBRM(Bridge Resource Management)訓練と、機関長、機関士を対象とするERM(Engine Resource Management)訓練は、商船三井の安全運航を支える大きな柱として位置付けられる訓練です。操船技術や機器の操作方法等、技術的知識・技能のみならず、リソース(資源:人、 機器、情報等)を最大限活用し、コミュニケーションをとりながらチームワークで安全運航(事故の芽を摘む、仮に発生しても拡大させない)を達成する事を目的としています。
BRM訓練・ERM訓練はともにIMOモデルコースに適合していることを日本海事協会(Class NK)から認証されており、商船三井グループ以外の会社に所属する船員にも門戸を開いております。当社はこの訓練を世界各地にある船員研修所にも展開し、船員に定期的に受講させています。

全方位視野に対応した操船シミュレータ
実機の操縦装置を配した機関シミュレータ

OJTインストラクター制度

係船作業を指導中の様子

ベテランの船長・機関長経験者が航海中の船に乗り込んで、動いている現場でしかわからない不安全行動や潜在危険を見つけ出し、その場で改善指導するものです。ニアミスや良い取り組み事例などの情報も各船に展開し、現場における危険に対する感度を高め、ヒューマンエラーの防止に役立てています。